トップページ 社会保障の種類・内容 >  2.障害・遺族・老後に備える公的年金と上乗せ年金

[2]障害・遺族・老後に備える 公的年金と確定拠出年金

公的年金等の2022年度改正点
年金減額率:0.4% (現役世代の賃金が減少したため) 
基礎年金番号通知:年金手帳交付の送付から切り替わります
老齢基礎年金額の改正:7万7800円、子の加算22万3800円、第3子以降7万4600円
老齢年金の繰上げ支給の減額率:年0.4%(旧0.5%)になり、60歳支給なら本来の年金額の76%に減額され、一生低額のままです
老齢年金の繰下げ支給:75歳まで可能になり増額率は84%、70歳なら42%増額です
短時間労働者の厚生年金加入者条件緩和:併せて健康保険にも加入できます
2022年10月より従業員数が100人を超える事業所も対象、2024年10月からは50人超
厚生年金の在職老齢年金:65歳未満の減額基準額が47万円(前年まで28万円から減額)に引き上げられ、厚生年金に加入しながら働いても、年金の減額が減りました
厚生年金の在職定時改定
65歳以上で働く場合、年金は毎年10月に上乗せ支給されます(これまでは退職時に支給)
社会保障協定の新規発効国:フィンランド(年金・雇用)、スウェーデン(年金)
確定拠出年金の企業型・個人型(イデコ)の改正

1.国民年金
国民年金は強制加入(国民皆年金実現のための制度)
20-59歳の自営業や農業だけでなく、学生・無職まで全員加入義務があります
保険料
a.月額16,590円、来年度16,520円
b.前納割引額:1か月50円~2年分15,790円(口座振替、現金・クレジットカード払い)
c.保険料の1/2は税金で補助されているため有利です
d.低所得者・DV被害者は保険料を免除され、老齢基礎年金の1/2(税金分)がもらえます
e.学生の特例制度、50歳未満の猶予制度
届出すれば遺族・障害年金の対象になり、10年以内に保険料を追納すれば、老齢基礎年金ももらえます
受給資格期間:この期間を満たさないと年金をもらえません
a.障害基礎年金:障害認定を受け、20歳以降2/3の期間加入※、または直近1年間加入した人に支給されます (障害月と前月は含まない) ※加入期間とは保険料納付か免除期間です
未成年時の障害は、20歳から支給されます(申請必要、所得制限があります)
b.遺族基礎年金:18歳年度末までの子(障がい児20歳)がいる場合に支給されます
支給条件は、20歳以降2/3の期間加入または直近1年間加入 (障害月と前月は含まない)した 人が死亡、25年以上加入者が死亡した時に支給されます
c老齢基礎年金:10年以上加入すれば支給されますが、満額(月6.5万円)をもらうには40年加入が必要です(10年加入なら1/4)
年金額
a.障害2級・遺族・老齢とも月6.5万円
b.障害1級は1.25倍、遺族には子の加算があります
c.70歳・75歳まで受給を遅らせると1.42倍、1.84倍の年金になります(月0.7%増加)
60歳から繰上げ受給すると、76%に減額された年金が一生続きます(月0.4%減少)
付加年金か国民年金基金:1号の人はどちらかに任意加入できます
他の制度:特別障害給付金・死亡一時金・寡婦年金・未支給年金もあります

2.厚生年金(会社員・公務員・私学教職員)
共済年金:厚生年金に統一され、職域年金は「年金払い退職給付」となっています
保険料率:18.3%
a.報酬月額※により月1.6万円~11.9万円を企業と折半して負担します
※通勤手当などを含む4-6月の金額、新幹線通勤すると保険料が高くなります
基礎年金部分も含まれ、70歳以上の保険料負担はありません
b.保険料の上限額:月額65万円、賞与150万円(年3回まで)の上限額があり、将来の年金支給額を抑えています
高額所得者の年金は65万円の人と同額なので注意が必要です
c.産休中:厚生年金と健康保険の保険料が免除されます
d.短時間労働者も対象:週20時間以上勤務、月収8.8万円以上、2か月以上雇用、従業員100人以上の場合
e.扶養される3号(収入130万円未満)の保険料負担は夫でなく、厚生年金制度が負担します
受給資格期間
a.障害厚生年金・遺族厚生年金は、国民年金と同じ期間必要です
b.遺族年金:短期要件(加入中の死亡、基礎年金の要件必要)長期要件(老齢厚生年金受給者の死亡・25年以上の受給資格者の死亡)があります
c.老齢年金:10年加入で支給されますが、40年加入した人の1/4の金額です
年金額
a.報酬月額と加入月数で算出、40年加入夫婦のモデル年金額は約22万円(妻の基礎年金含む)
b.障害厚生年金:1-2級の他、3級さらに軽度の一時金もあります
c.遺族厚生年金額は、夫の老齢厚生年金の3/4
*収入の多い妻に遺族年金はなく、自分の老齢年金を受給します
*29歳以下の子のない妻には5年のみ支給、自立支援があります
d.障害年金と遺族年金は、最低25年加入分支給されます
e.老齢厚生年金
*在職老齢年金制度で、厚生年金に加入しながら働くと年金が減額されます
2022年度から65歳未満の減額しない上限額が47万円に引き上げられました(旧28万円)
高齢者の働く意欲を削がなくする改正です
*加給年金:20年以上加入して配偶者がいる場合に支給されます(妻が65になるまで)
f.70歳・75歳まで受給を遅らせると1.42倍・1.84倍の年金になります(月0.7%増加)
*年金が多くなると税金や社会保険料の負担も増え、停止中は加給年金も止まるので注意
*基礎年金だけを繰り下げることもできます
g.その他、加給年金・振替加算・社会保障協定・離婚時の年金分割制度があります
海外で暮らす人の社会保障協定
a.目的:経済交流の促進と企業の保険料二重負担の軽減です
b.協定発効国は22か国、交渉中は4か国です
c.5年以上滞在者見込みと現地採用者が対象で、5年未満は日本で加入します
離婚時の年金分割
a.現役時代の男女の雇用格差・給与格差を年金分割で解消します
b.離婚原因による減額はなく、慰謝料で調整します
c.1/2が上限のため、遺族年金の3/4より少なく、加給年金もなくなります
d.年金の加入記録を分割夫が死亡しても、妻には年金支給されます
e.妻に受給資格がないと受けられません
f.年上の夫が受給開始しても、妻は65歳になるまでもらえません
g.離婚件数19万件中、分割件数は3万件です。離婚後2年以内の手続きが必要です

3.公的年金の上乗せ年金の支援制度(任意加入)
超少子高齢社会では(保険料負担者が減り、年金受給者が増加、長寿で受給期間も長い)、年金が減少するため、年金基金や確定拠出年金制度が提供されています
節税や非課税になるため、掛金には上限額が設けられています
⑴厚生年金基金・国民年金基金
厚生年金基金
a.基金が保険料を運用し、企業が退職積立金から上乗せした年金を支給する制度
b.企業は高利率の運用責任で営業利益を圧迫、大企業の多くは確定拠出年金に移行、中小企業は国に返納できず特例で解散を進めています
国民年金基金
a.都道府県単位47基金と職能型3基金があり、1号保険料納入者が加入できます
b.加入者34万人と比べて、受給者が66万人と2倍近く多い
c.終身年金と確定年金(有期)があり、年金開始年齢は60歳以降です
女性の終身年金の掛金:長寿のため男性より高くなります(公的年金は男女同額)
d.公的年金控除の上限:月6.8万円

⑵確定給付企業年金DB(退職資産形成制度)
企業が掛金を負担し年金額を約束、運用損失は企業負担のため、大手企業は確定拠出年金に移行(国際会計上不利になるため)

⑶確定拠出年金DC
自己責任で掛金を運用して、上乗せ年金を準備する制度です
企業型
a.企業が掛金を負担、マッチング拠出は企業と同額まで自費で掛けられる制度
b.掛金の上限:月2.75万円(企業年金がある場合)、月5.5万円(企業年金がない場合)
個人型(イデコ)
a.厚生年金と国民年金加入(3号も対象)が条件です
b.上限額:元共済加入者1.2万円、3号2.3万円、1号は基金と併せて6.8万円
企業型が上限額なら0円、ないか少ない場合1.2-2.3万円が上限

4.年金にかかる税金と手続き
税金
a.障害年金と遺族年金:非課税
b.老齢年金の控除額の例
65才未満で年金130万円以下は60万円、65歳以上330万円以下は110万円
手続き
a.申請主義:届いた年金請求書を、受給したい年齢時に提出する
b.年金の時効:5年。未統合年金がまだ2000万件あり、もらい忘れがないか確認が必要
c.諸手続:死亡、職種・氏名・住所変更手続は、厚生年金10日、国民年金14日以内にします